2011年3月19日土曜日

【読書メモ】【経済学】人口負荷社会①

おススメ度★★★★★ 

「長期的な日本経済・社会を考えるとき、もっとも重要なのが人口問題」
である.本書はこの点に注目している.具体的には、本書では日本における人口構造の現状を示し、それが日本経済に与える影響の分析を行う.そしてその対応策を経済学的観点から紹介している.

「人口オーナス」とは
日本は今、「人口オーナス」の状態にあるという.「人口オーナス」とは、人口の中で働く人の割合が低下することが経済にマイナスに作用することである.人口統計を見れば、日本は他国に比べて急テンポで高齢層の割合が勤労層に対して相対的に増えていることがわかり、筆者はこうした人口構造の変化が問題であると主張している.

人口オーナスの与える長期的な影響
そしてこの人口オーナスは経済成長に大きな影響を与える.本書では長期的な視点に立って、人口の経済の影響を考察している.成長力が労働力・資本・全要素生産性によって決まるとすると、人口オーナスはこれら全てにマイナスの影響を与える.
まず、仮に労働市場への参入が現状程度で推移すると考えると労働人口は2030年には5597万人となり、2004年の6642万人から約1000万人減少する.
次に人々がライフサイクル仮説に従うと貯めたお金を使う仕事をリタイアした高齢者がお金を貯める就業者よりも相対的に増えるので国全体の貯蓄が減少し資本不足となる.
最後に全要素生産性については、特に人口との関係で社会保障のパフォーマンスが大きな問題が生じるので、これも同様に低下してしまう.これは、現在の社会保障制度が人口増加時代に設計されたもの、人口オーナス下では対応できないからだ.
以上を整理すると人口オーナス下では、成長力の源泉である労働力・資本・全要素生産性がすべて低下してしまう.

おわりに
本書では他に人口オーナスの要因や影響、対応策が記述されている.そして筆者はそこで望ましい経済のあり方を紹介している.このように望ましい姿を理解し、議論することは重要である.しかしそれだけでなく、我々は望ましい姿をどのように達成するかを考えなければならない.これは非常に難しい問題である.その一つの原因として、一つの制度は無数の法律が付随し成り立っていることが挙げられる.一つの制度あるいは慣習を変えることは、今までもそうであったように、容易ではない.望ましいあり方だけでなくその望ましい姿までのプロセスを提示するのも、経済学の重要な使命ではないか.

2 件のコメント:

  1. 今読んでるけど分かりやすくて勉強になるね。ただ問題が思ったより深刻で鬱になってくるけど・・・。

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  2. 人口予測ほど正確な予測はない、という筆者の言葉が、この人口オーナス下の問題を一層引き立てている気がします.

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