おススメ度★★★★★
ソ連崩壊以後、自由主義的な経済開放の広がり、インターネットや携帯電話の普及、そして国際開発のための多大な努力により、多くの発展途上国はほとんど例外なくダイナミックに変化している.日本の戦後約65年間で、韓国など繁栄を謳歌している国がある一方、未だに貧困状態からなかなか抜け出せずにいる国がある.
本書はこうしたダイナミックに変化している途上国で行われている―例えば、感染症対策・教育・汚職対策・マイクファイナンス・貿易などー国際開発の様々な取り組みを紹介している.また本書では単にそうした国際開発の取り組みを紹介するだけではない.経済学的な視点から国際開発の取り組みを分かりやすく説明しているので、開発経済学を学び始めるときに活用できそうだ.
今、『市場を創る』を私は読んでいるのだけれども、『国際協力ってなんだろう』と同時に読んでいると発展途上国で健全な市場が構築されることがその後の繁栄にいかに影響を与えるかを確認できる.また、例えば新薬の開発に関して先進国の特許システムが、感染症が発生し蔓延しやすい途上国においてどれほど厄介なものであるかを理解することができる.途上国で国際開発を取り組むのなら、トップダウン式にどのような市場を設計するのかが重要になってくるのではないだろうか.
たくさんの筆者がそれぞれの章を担当しているので、章ごとのつながりはほとんどないが、それでも様々な立場から国際開発に取り組んでいる人たちの視点を通して現場を知ることができる一冊である.
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