2011年3月25日金曜日

【読書メモ】【経済学】政権交代の経済学

おススメ度★★★★☆


 政治家の発言やその発言に対する国民の反応を見ると日本は他国に比べて経済学を重要視していないように感じられる.そうした状況の中、本書の目的は経済学の概念を用いて現実の経済政策を理解し、また民主党政権の提案する政策を吟味し望ましい経済政策のあり方を議論するものである.

 本書で最も評価される点は、経済学というツールを用いると、どのように経済政策を考えることができるのかを、経済学を知らない人にも分かりやすく説明しているということである.こうした類似の本は多く出版されているが、本書はそうした本の中でも分かりやすく書かれているものの一つである.
 本書では、学者・研究者・ジャーナリスト・エコノミストが各章を担当し執筆している.このことは経済現象や経済政策の分析を独りよがりにせずに多角的なものとしているが、一方で各章ごとのつながりを希薄化させ、また各章のクオリティーにばらつきを生じさせてしまっている.

 以上のような欠点があるのにも関わらず、本書は様々な経済現象や経済政策を考えるきっかけとなりえる.政治家や評論家が必ずしも経済学を修得し、使える人たちであることはほとんどない.こうした人たちが本書を読めば、少なくとも国会で有意義な政策議論ができるのではないだろうか.

 執筆者の代表である小峰先生の主張は『人口負荷社会(日経プレミアシリーズ)』にも詳しい.『政権交代の経済学』とともにおすすめの一冊である.

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