2011年3月16日水曜日

【読書メモ】【経済学】ヴェニスの商人の資本論

ずっと読んでみたいと思っていた本の一つ.難しいと覚悟で読んでみるとなかなか面白い.

おススメ度★★★★☆



本エッセイはシェイクスピアの喜劇『ヴェニスの商人』を舞台に、登場人物を読み解きながら「資本主義」と「貨幣」について考察するものである.著者の考える「資本主義」と「貨幣」を主にP67〜69を引用しながらまとめると次のようになる.

貨幣
流通し始めた貨幣は、利潤を生み出しながら無限に自己増殖しようとする.

そしてこれは本エッセイにおける「資本主義」の定義に他ならない.

資本主義
資本主義-それは、資本の無限の増殖をその目的とし、利潤のたえざる獲得を追求していく経済機構の別名である.利潤は差異から生まれる.利潤とは、ふたつの価値体系のあいだにある差異を資本が媒介することによって生み出されるものである.資本主義はそれゆえ新たな差異を探し求めていかなければならない.資本主義とは、かつてはそれぞれ孤立し、閉鎖されていた価値体系と価値体系とを相互に対立させ、相互に連関させ、それらを新たな価値体系の中へと再編制してしまう力に他ならない.

本エッセイのように『ヴェニスの商人』に対応させると、ふたつの価値体系とはキリスト教社会とユダヤ教社会にあたる.そのあいだの差異を媒介する貨幣とはポーシャのことであり、彼女が生み出す利潤とは子である.彼女を媒介としてキリスト教社会とユダヤ教社会が再編制させてしまう力が資本主義なのである.

「資本主義」「貨幣」について理解を深められる一冊であると思います.

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