本書の序文にあるように、英語のseeは、「見ること」と「理解する」という意味を持つ.図を見て理解する.それが"Proofs without words".言葉は厳密だけれでも、しばしば理解することを困難にする.一方で、図を用いて証明することは、厳密ではないけれども、証明やその意味の理解を容易にする.どちらも必要不可欠だが、理解することや人に伝えることを重視するなら、絵を描いてみることが一番いい.
以下は序文の引用です.
もちろん《言葉を用いない証明》は正確な証明とはいえません.論文”数学における視覚化の不都合について”の著者、テオドール・アイゼンバーグとトミー・ドレイファスは、この論文の中で次のような指摘をしています:視覚に訴える議論は信憑性に欠けると考え、「数学を伝える手段はただ1つしかなく《言葉を用いない証明》は受け入れ難い」とさえいう人もいます.しかし、私たちはこの意見には完全には賛同できません.多くの数学者たちの以下のような見解が私たちの意見の正当性を裏付けてくれるでしょう.
(中略)数学者ソロモン・レフェシェッツに言及して、ポール・ハルモスは「彼を数学の倫理としてではなく、像として捉えていた」と述べています.また数学者となるには、どのような才能が必要かということに触れて、ハルモスは「数学者となるには、視覚的に物を捉える才能を持っていることが必要である」といっています.確かに教師のほとんどは、学生たちからこの才能を引き出すことを心がけています.ジョージ・ポーリアの「図を描いてみよ」という戦略は教育法の古典的な定石であり、またアイゼンスタインやポアンカレの「人は視覚的な直観力をもっと使うべきだ」という主張もよく知られています.
本書は、数学でよく知られた定理の証明をすべて図を使って証明しようという、何とも野心的な内容で、証明を視覚的に捉えようとすることを目的にしています.
ただここまで、本書の序文を引用して、名前の出てきた数学者のほとんどを誰か知らない…汗
経済学との関係で興味を持った箇所は、部分積分、コーシー・シュワルツの不等式、算術平均と幾何平均、無限等比級数の和などなど.
図を使うと、あーそんなことだったのかと単純なものが多いことに気がつく.
中には、大学入試勉強のときの、図形問題で見たことあるような問題も….図形の問題はいろんなところで応用しやすいのでしょうか.
証明者のところでアメリカ大統領の名前が出てきたのには驚きでした.