本書はインターネットの普及とともに、急成長してきたグーグル、Amazon、マイクロソフトのような企業が活動するデジタル経済に関する入門書だ.経済学を用いると、このデジタル経済はどのように説明できるのかが明らかにされていて、現実の社会現象に経済学がいかに適用されるのかを知ることができる.
本書の最初に、経済学の枠組みを用いてネット産業の特徴が説明される.規模の経済やネットワーク効果、ロックインなど、経済学を学んだことのある学生なら聞いたことのあるキーワードが並んでいる.
情報通信産業は他の産業と比べて、特に専門用語が多い、というより技術革新が早すぎて次から次へと言葉が生まれて、整理するのが難しい.本書はそういう産業を対象にしているので、アルファベットや横文字がとにかく多い.読むのにとても苦労しました…
本書を読んで驚いたことは(というか情報インフラについてこれまで何も知らなかったので)、実は日本が他の国と比べてすばらしい情報インフラを持っているということだ.
情報通信産業の特徴を説明する経済理論や実証分析を経て、終章では、ブロードバンド立国へ向けての最近の動き(光の道構想など)や筆者の提案が掲載されている.